2014年06月25日

犀川、至福の時

夜の闇が溶け出して足元には犀川の重い流れが現れた。
両足に力を入れて踏ん張っていないと重い流れに川底から足を引き剥がされそうだ。
ダブルハンドロッドを握り、朝の冷たく引き締まった空気を切り裂くようにシューティングラインを打ち出した。

打ち出されたシューティングラインは冷たく引き締まった空気を転がり、犀川の重い流れに沈み、フライを流れの底へと運んで行く。そして、ダブルハンドロッドに伝わって来る感覚で水中を想像する。

ラインを投げては想像そして回収、投げては想像そして回収、この繰り返しが私を至福の時へと運んで行く。
会社でのストレス、家庭でのストレス、人間関係でのストレス、それを犀川の重い流れが少しずつ洗い流し、私を犀川の重い流れの中に吸い込んでいく。

激流の下、白い泡の中、大岩の影、フライで虹鱒を探していると、日々の嫌な事は消え去り、犀川の重い流れを感じているこの時が私の至福の時だ。

しかし至福の時は長くは続かない。陽が高く登り、全てを照らし始めると魚の気配は犀川の重い流れから消え去り、私の至福の時も終わった。


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